FIELD OF ZERO

僕がカンボジアで一番貧しい農村の子どもたちと一緒にテニスコートを手づくりした話

カンボジアのまさと(masato_ogiwara)です。

僕はナショナルチームの活動とは別にFIELD OF ZEROという活動をしています。

この活動はカンボジアの恵まれない農村の子どもたちにスポーツ教育を促進する活動として始まりました。

テニスコートを作る様子

詳細は以下の関連記事で紹介してあるのでぜひご覧ください。

FIELD OF ZERO〜農村の子どもたちにスポーツ教育を〜カンボジアのまさと(masato_ogiwara)です。 僕はカンボジアのソフトテニスのナショナルチームの活動とは別に、カンボジア...

今回は僕たちFIELD OF ZERO運営実行委員会と農村に住む子どもたちと一緒にテニスコートを手づくりした時の話を紹介していきます。

ゼロから1を生み出すことの楽しさを体験

テニスコートを作る前の土地の様子(テニスコートを作る前の土地の様子)

一般的にはテニスコートを作りたいと思えば、お金を集めて業者に頼めば、あとは業者がやってくれるので、自分でテニスコートを作る必要はありません。

しかしこのFIELD OF ZEROの活動は、


「ゼロから1を生み出す体験をする」

ことも目的の一つでもあるので、子どもたちと一緒に協力して作ろう!ということになりました。

幸いにも運営実行委員会のメンバーの土地を借りることができたので、その土地を使って、まずは分たちの手でできるレベルで取り組み始めることにしました。

とは言っても、テニスコートの建設予定地はこの上の写真の場所です。

僕はこれまでテニスコートを作った経験なんて無かったので、何から始めれば良いかわからず、この場所がテニスコートに生まれ変わるイメージが全くできませんでした。

市場へ必要なものの買い出し

とにもかくにもやると決めたからには動き出さないと何も始まりません。

そこで運営実行委員会のみんなで、まず何から始めるかを話し合い、最初は土地の中での具体的なコートの位置を決めようということになり、早速近くの市場(以下マーケット)への買い出しへ行くことになりました。

ミーティングの様子

まず最初はテニスコートを作るために必要なテニスコートの位置決めをして、杭打ちから始めることになりました。

この日にマーケットで購入したのは以下の物です。

工具(100メートルメジャー 、のこぎり、トンカチ)

買い出しの様子(杭となる竹)

備品の購入(区画するためのヒモ、ビニールテープ)

カンボジアのマーケットはいつも人が賑わっており、とても活発な雰囲気です。

また物価も日本に比べてはるかに安いので、これらを全て揃えて約$20程(約2,200円)でした。

市場の様子

コートの区画決め

買い出しを終えてコート建設予定地へと向かい、実際に距離を測ってテニスコートの位置を決めて、ポイントとなる場所に杭を挿していきます。

区画ぎめの様子

この時はかなりの炎天下であったということもあり、外に立っているだけでもかなりしんどかったのを覚えています。

それでも一日も早くテニスコートを完成させたいという思いから、全員で役割分担をして作業を進めていきました。

みんなで作業をする様子

こうして約2時間に及ぶテニスコートの区画決めも終わり、テニスコートの実際の位置とサイズがわかるようにビニールテープで囲いを作ることができました。

区画整理後の様子

すごく単純な作業ですが、炎天下であることや地面のボコボコもあったりで結構疲れました。

ここは農村の子どもたちの遊び場でもあるので、子どもたちが足を引っ掛けて転んだりしないようにするために黒紐の上からカラーの紐をくくりつけるなどをして、区画決めが終了しました。

(この地域は牛が放牧されていることもあり、後日全て牛になぎ倒されていました。笑)

マーケットへテニスコート建設に必要な物品購入と作成


牛に全てなぎ倒されてしまいましたが、
無事テニスコートの位置も決まったので、次は実際にテニスコートを建設する際に必要なものを買いに行き、無いものは手づくりで生み出していきました。

コートフェンスの作成

テニスコートフェンスの製作

最初はまず、子どもたちはテニスをしたことがないので、ボールが遠くへ行ってしまわないように、テニスコートの周りを覆うフェンスの役割をするネットの作成です。

コートフェンスの買い出し

この写真の中央部にあるこの緑のネットをフェンス代わりとして張ろうということになりました。

日本の場合は知りませんが、カンボジアの場合にはこのネットは量り売りでグラム当たりいくらというように売られていました。

量り売りのイメージはこちら↓

計り売りの様子

テニスネットの作成

 

次にテニスネットです。

テニスはネットがないとできないので、テニスコートのネットになる素材を探しに行きます。

ここでも当初の


「ゼロから1を生み出す体験をする」

ということで、ネットも全て自分たちで作ろうということになり、ネットの素材となるものを探しに行きました。

テニスネットの素材の買い出し

なかなかいい素材のものが見つからなくて時間がかかりましたが、ようやくテニスのネットの素材に近いものを見つけ出し、子どもたちとその親御さんと一緒にネットを作りました。

テニスネットを作る様子

 

テニスネットを作る子供の様子

 

写真ではわかりにくいですが、このテニスネットはかなりクオリティが高く、丈夫な作りになっています。

ポールの作成

 

次はテニスコートのネットを張るためのポールです。

実際にこのポールをどのようなものにするか考えた時に、最初は実際のテニスコートで使っているような鉄の棒か何かを使おうか迷いましたが、ちょうどいいサイズのものがなかったということもあり、木の丸太を使ってみることになりました。

日本にいては物が溢れているので、このようなクリエイティブな発想はなかなかできませんが、カンボジアのこの農村のように、日本ほど豊かでない場所では、あるものでなんとかすることを考えるようになります。

 

テニスネットをたてるポールの素材買い出し

実際に丸太を地面に挿してみると、意外といいことがわかり、そのまま実際のテニスコートのポールの高さになるように埋めてみました。

テニスコートにポールを立てる様子 ネットの高さを確認

このようにみんなの知恵とアイディアを持ち寄って、手作りのテニスコートのネットが完成しました。

ネットを張る様子

コート整備の用具の作成

 

このテニスコート建設地は写真ではわかりづらいですが、非常にボコボコになっています。

そのため、テニスをするためにはある程度真っ平らにする必要があるということで、T字のトンボが必要でした。

しかし、これはこのプレイベンには既存のものはなかったので、

「ゼロから1を生み出す体験をする」

を実行するために木材屋さんへ行って、材料を買って自分たちで作ることにしました。

木材の仕入れ

子どもたちはこのT字のトンボを見たことがなかったようで、作るのに戸惑いながらも、一生懸命作ってくれました。

子供たちとテニスコートを作る

ボコボコを埋めるための砂入れ

 

この場所は上でも紹介しているように牛の通り道となっているので、地面がボコボコしています。

そのため、地面をならすためには砂入れが必須でした。

そこで協力者に砂を持ってきてもらい、それを全員でまく作業を行いました。

砂入れ

テニスコートを作る上で、この作業が一番大変で時間がかかりました。

さすがに朝早くから出発してプレイベンへ向かい、炎天下の中での作業ということもあり、途中で休憩を入れながら作業を進めていきました。

休憩

そんなこんないろいろありながらでしたが、子どもたちが楽しそうに砂まきを手伝ってくれたおかげで、大量の砂まきをなんとか終わらせることができました。

子供たちと一緒にテニスコートを作る

この砂をまき終えると、上で紹介したトンボを使って、みんなで土をならす作業を行いました。

農村に住む子どもたちと一緒に作ったトンボを使った地面の慣らし作業は、僕たちにとってはただのトンボがけに過ぎませんが、彼らにとっては今までやったことのない新しい遊びみたいに楽しそうにやってくれました。

みんなで競争しあって遊んだり、より綺麗にならすために工夫をしてみたり。。

コート作りの様子

ついにテニスコートが完成!

 

このテニスコート建設計画は2015年の1月からスタートしたこともあり、計画から完成まで約4ヶ月間の期間を経て、何もなかった土地にテニスコートを完成させることができました。

このテニスコートを建設するにあたって、多くの関係者や子どもたちとその家族の協力があって、完成までたどり着くことができました。

コートの完成写真がこちらです。

コートが完成

最初はテニスコートを作るということに対して、

「本当にできるのかな?」

とか

「子どもたち集まってくれるかな?」

などとたくさんの不安がありましたが、実際にテニスコートの建設を終えて思うことは、同じ志を持つ仲間が集まれば、自分の想像を超えることもできてしまうということでした。

今はまだこのプレイベンだけでの活動ですが、今後はこのFIELD OF ZEROの活動を、カンボジア全土に広げていけるようにしていきたいと思っています。

今後カンボジアにもいつかスポーツ教育となる部活動という文化が根付き、この活動から子どもたちが夢を持つきっかけを得られたり、この場所での体験からチームワークが生まれ、大切な切磋琢磨できる仲間が見つかるという経験を得られる場所になってくれれば嬉しいです。